牛の角から血が出たときの対処法

角から血が出たとき
うとう
うとう

こんにちは、ブログ管理人の うとう です!今回は牛のツノのはなし。

このページでは、牛の角から血が出た=「さや抜け」の時に、飼育者でもできる応急処置防ぐために気を付けることなどについて解説します。

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1. いますぐできる処置の流れ!

牛が元気であれば、処置しなくても大丈夫なことも多いですが、何かやっておきたいという場合に参考にして下さい。

1-1. まず落ち着く

大丈夫、落ち着いてください。派手に出血するので焦ると思いますが、角からの出血だけですぐに命に関わることはほとんどないです。

1-2. 牛の頭を固定する

人も牛もケガをしないように、頭が動かないように牛をつなぎましょう。

角の様子を見るために、例えばこのようにつなぐと、頭を動かさず、牛も人も安全に確認しやすいです。 首を柵に密着させて、鼻を高めにしてロープを縛ると牛は頭を動かしにくいです。

1-3. ゴムバンドか、ガムテープを用意

手袋、タオル等もあれば、用意しましょう。

タオル類は何でもよいですが、脱脂綿のような水分を吸収しやすくて柔らかいものは、あんまりおすすめしません。

ペーパータオルや ティッシュペーパーも水分を吸収しやすいですが、何十枚もの分厚いかたまりでタオルのように使えうのはOK!

1-4. 角のさやを取る

角のさやが中途半端に取れかけで、一部がつながっている場合はここで取ってしまうのがおすすめです。でも、ムリしてとらなくても大丈夫です。

後で、何かにひっかけたりぶつけたりしてまた出血してしまうのを防ぐためですが、取りにくい場合など、ムリしなくてよいです。つながってついていても重大な問題にはならない。

1-5. 角の根元を、力強く押さえ数分間、保つ。

※ 時間がない人は(5)(6)を省略して(7)へ。
手袋等をした手でそのまま、もしくはタオルなどを当てて。

とにかく、ためらわず、角の根元をピンポイントで圧迫するように力を込めた状態で数分待ちましょう。

タオルは、血を吸収するためではなくぎゅっと力を入れて押さえやすくするために
使います。(タオルは無くても良いんです。)

力を入れずに、なんとなくタオルを当てているだけだと、出てくる血をどんどん吸ってさらに出血していくのを見てるだけになってしまうので、血を拭くことは後回しに考え、「圧迫する」ことに集中しましょう。

1-6. 力を抜いて、血が流れてこないか見る。

血が流れてくる場合、再び(5)の作業。

1-7. ゴムバンドを巻く

・時間がない
・(5)をやっても血が止まらない
・血はおさまったけど不安


という場合、角の根元にゴムバンドか、きつめにガムテープを巻きます。片方の角ではなく、左右の角の根元に、ハチマキのようにして巻きます(ガムテープならぐるぐる巻き)。

1-8. 出血部以外の血をふいて、いったん終了。

血がすぐに止まらなくても、ここでしばらく放置して様子を見ます。

ここまでやってみてから、心配なら獣医さんに相談するもよし

獣医さんに連絡して、来てくれるまでの間にここまでの処置をしながら待つのもよし、です。

うとう
うとう

とにかく、「角から出血」が致命傷になることは考えにくいので、落ち着いてくださいね。

・牛が倒れているとか
・角以外にも様子がおかしいとか
・元気がないとか
他の心配する要素がない限りは、焦らなくて大丈夫でしょう。

様子がおかしいと感じる場合は、角に関係なく、別な体調不良やケガの心配がありますから、獣医さんに診察してもらいましょう。

2. 補助的な対処

2-1. 冷やす

冷やして硬く絞ったタオル保冷材などで、角の周辺を冷やします。

冷やすと血管が収縮するため、血流量や血流の速さを少し抑えられます。

2-2. 牛を落ち着かせる

もし牛が興奮していた場合、つながれていない牛なら追い回したりせず、遠くから牛を見る程度で少し放置してあげます。

血が顔を流れて心配かもしれませんが、歩き回っているようならまず大丈夫でしょう。つながれている牛でも、頭を触らせてくれないなどの場合はそれだけ元気がありますし、人も危ないことがあるので様子を見るだけにします。

ムリに処置しようとせずに牛が落ち着くのを待ちます。

興奮状態でいることは、体温が上がって、心拍数も高い状態です。体温が高いと血管は拡張して多くの血が流れ、心拍数が速いと血液が速く流れているということなので、血が出やすくなります。

3. 確認すること

  • 牛が元気かどうかを確認する
  • さやの状態を確認する
  • 放されているか牛で、落ち着いていなければしばらく様子を見る
  • 放されている牛で、落ち着いているならつなぐ
  • つながれた牛なら、頭が動かないように固定する
  • あばれんぼうの牛の場合、ムリして処置しようとしない。
    様子を見たり、獣医師に相談する。
    牛の品種、個体ごとに遺伝的に持っている性質(繊細さ、臆病さなど)、育ってきた環境(舎飼いか、放牧か、人に慣れているかなど)によって、近くで触ろうとすると人にケガをさせてしまうような牛もいます。人がケガをしては大変なので、ムリはしないようにしましょう。

4. ツノから出血ってどういうこと?

牛のつの中身は骨です。頭のてっぺんから おでこあたりまでの「前頭骨ぜんとうこつ」といういわゆる”ずがいこつ”の一部です。

その上から、ケラチンという硬いタンパク質でできた「角鞘かくしょう」つまり”さや”がかぶさった構造をしています。

牛の角から血が出るというのは、この”さや”が骨から外れてしまうことによるものです。

ケイちゃん
ケイちゃん

角が折れたーっ!て訴えてる牛飼いさんがいたけど?

うとう
うとう

ほんとに角が折れたら、前頭骨の骨折ってことでかなりの重症だろうけど…ぼくは見たことがないよ!

ケイちゃん
ケイちゃん

それじゃあ、折れてるんじゃなくてさやがとれてるだけなの?

うとう
うとう

今まで見たことのある「角から血が出た」牛はどれも、さやがとれている「さや抜け」だったよ。

診断は、現場で事実を確かめた獣医さんがするものなので、聞いただけで断言してはいけないですが、「さや抜け」以外で角のあたりから出血するというのは、切り傷とか…ぐらいと思われます。

少なくとも私の知り合いの獣医や農家さんから、角の骨を骨折したという話を聞いたことはないです。

頭骨の構造から考えて、万が一、角がボキッと折れているなんてことがあればそれは、頭全体が無事では済まない衝撃を受けていると思われます。

5. 血が止まるしくみ

血液には血小板という物質が含まれており、空気に触れると血小板どうしでたくさんくっついて、固まる性質(凝固作用)を持っています。

切れた範囲が小さかったり細い血管だったりすれば、この凝固作用により、血管が切れてもわりと速やかに血が固まり、切れた血管の穴にフタができるようにして出血が自然に止まるようにできています。

ただ、生きた動物の血管内には常に勢いよく血液が流れているため、その勢いが強いと(切れた範囲が広い、または太い血管だと)、血液が固まってフタになってふさごうとしても、出ていく血液のいきおいでフタが流されたり、血小板がくっつくのが追いつかないということが起こります。

そこで、

物理的に力をかけて押さえる=「圧迫
血管を収縮させる=「冷やす

などをすることで、血液の通り道を狭くしたり、血小板がくっつきやすくなるので、血が止まるのを補助することができるのです。

牛を落ち着かせるのも、血流の勢いをおさえ、ゆっくりにさせるので、血小板のフタが定着しやすくなりますね。

5. どんな時に起こりやすい?

・牛をロープで長めにつないだ時
・ロープでつないだ牛のまわりを、別な牛が動き回る時
・牛がたくさんいる場所に放している時
・牛を、運搬車に載せたり降ろしたりする時

・牛が不慣れな場所にいる時

半端に動き回れる」「牛がたくさん」「慣れないに注意です。
たとえば、家畜市場では多数の牛が過密に落ち着かない状態でいるので、さや抜けやその他のケガなども起こりやすいです。

6. 防ぐには?

6-1. 運搬時や、つなぎ方に注意する

上にも書きましたが、牛を運ぶ時、運搬車には様々な突起やスキマがあり、また牛も滅多に乗らないため慣れておらず、色々なところに角をぶつけたり引っかけることがあります。「さや抜け」だけでなく、切り傷などのケガもしやすいです。ケガをしそうなところには十分気を付け、例えば突起にはテープを巻くなどの処置をしても良いでしょう。

牛を牛舎や家畜市場などでつないでおく時、そこが牛が多い場所や慣れない場所である場合、牛が動ける範囲が小さくなるようにロープは短めにしてつなぎましょう。

自分の牛舎など、慣れているところなら牛も落ち着いているので、変に動いたりして角をぶつけることも少ないです。でも、牛が多かったり慣れないような場所では、牛が落ち着かないうえに動ける範囲分だけ、他の牛やモノに角をぶつけることが多くなります。 中途半端にロープを長くつないでいると、 「さや抜け」やその他の事故が起こりやすいので、一見かわいそうかもしれませんが、短めにつないで動きを制限する方が牛がケガするのを少なくできます

6-2. 除角じょかく

このページのお話「さや抜け」は、生まれたときから角を自然に伸ばしたままの牛で起こるものです。牛の角は何も処置をしなければ、長くとがった形に伸びて、けっこう危ないです。

6-2-1. 除角をするかどうか

角が自然に生えていると、ぶつけたりして出血することの他に、周囲の人や牛に当たる危険もあるのですが、ロープをひっかけて牛を扱いやすくするという利点もあり、一概に「かならず除角はすべき」とも言いにくいです。

「慣習的な理由」と、「品種による取り扱いのしやすさの理由」とがあると思われますが、日本では搾乳牛は除角されていることが多く肉牛は除角をされていないことが多いです。また、個人の考え方によって、処置を避ける飼い主もいます。

日本の搾乳牛の多くはホルスタインですが、体は大きいものの比較的おだやかな性格で、ロープなどが無くても移動させやすい品種なので、角が無くても扱いにはそれほど困りません。

黒毛和種などの肉牛の品種は、神経質ですばしっこく鼻輪とロープがないと扱いが難しいものが多いです。ロープは、鼻輪だけでなく頭(=角)にもひっかけることで、とても扱いやすくなります。また、角が無いとつながれていない牛を捕まえるのがかなり大変になったり、牛の頭を固定しにくくなります。

6-2-2. 除角のやりかた

やる場合、多くは生後2週間ほどのほとんど角が生えてきていない子牛のうち、処理をします。

角が生えてくる頭皮の部分に、棒状の焼きごてを押し当て、角となる骨や皮膚の細胞の成長を止めます。こうすることで、体が成長しても角が無いままの牛となります。

時々、焼き方が甘くて少し角が伸びてくる牛もいますが、長くとがった角にならず、少し丸いこぶのようになるので、それをどこかにひっかけることは少ないです。

焼きごてを当てるので子牛はもちろん痛がりますが、数分押し付けるだけで、ほとんど出血もなく、痛む時間も短いです。当たり前の処置としてやる人もいれば、やるべきではないという考えの人もいます。痛ましいけど、この次に書いた「断角」をすることになるよりはかなりマシだと考えて除角をする人もいます。

6-3. 断角だんかく

「除角」とは異なり、すでに長く伸びてしまった角を、のこぎりで切る処置です。

これは、「さや抜け」を防ぐ目的というよりは、人や周囲の牛の安全のために行われることが多いですが、除角と比較してここで説明させてください。

子牛の頃の除角処置が不十分もしくは処置忘れにより角が長く伸びてきた場合や、切るつもりはなかったが伸び方が危険だったり他の牛を傷つけてしまう場合に、行われます。

角のさやと骨を切るため、出血を伴い、牛へのダメージも大きいです。(侵襲性が高い。)そのため、動物愛護の観点からもできれば避けたい処置で、やむなく行うことが多いです。

牛の頭が動かないようにロープなどでしっかり固定し、のこぎりで切断した後、切り口を焼きごてで止血します。


ケイちゃん
ケイちゃん

さや抜け」そのものは重大なケガではないけど、出血にびっくりするから一度知っておくと慌てなくていいね!

あと、他のケガもしやすい状況ということだから、気を付けよう~

うとう
うとう

心配なことがあれば、実際に獣医さんに診てもらって下さいね。

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