大動物臨床ってなに?

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うとう
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ブログ管理人の うとう です!

いろいろある獣医師の仕事の中でも、大動物臨床とはどういう仕事なのか解説しますね。

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1. 臨床ってなに?

獣医師の仕事のひとつに、臨床りんしょうという分野があります。臨床とは「病人のそばへのぞむ(面する)」という意味で、実際に患者を診察・治療(=診療)することを言います。

日本の獣医師免許を持っていて、日本国内であれば、臨床分野でもそれ以外の分野でも、獣医師の仕事ならどれでも法律上やることが可能です。日本の獣医師免許は一種類のみです。細かな種類とかはありません。ですが、実際に仕事をする時には自分でやりたい仕事の分野を選ぶことになります。

(※ 初めに始めた仕事の分野をずっとやる義務はありません。途中で変える人もいますし、複数分野をまたぐ仕事もあります。)

そこで、動物の診療をやりたいという人は臨床獣医師になります。その中でも犬・猫など伴侶はんりょ動物・愛玩動物を診る場合「小動物臨床産業動物(家畜)を見る場合大動物臨床という呼び方をすることがあります。

実際に、獣医師向けの専門雑誌や獣医学の教科書でも、「小動物」「大動物」の言葉が使われています。

他の獣医の仕事についてはこちらを参考に!

2. 大動物ってなに?

産業動物(家畜)を見る場合「大動物臨床」、と呼ぶと上に書きましたが、獣医内科学の教科書[大動物編]では、具体的に以下の動物のことが扱われています。

牛・馬・豚・緬羊めんよう山羊やぎ

※ 緬羊(綿羊、めん羊)とは、(ひつじ)のことです。家畜化され、毛が一生伸び続けるように改良された品種の羊ことで、野生種の羊と区別された呼び方です。

参考:辻本元(2005).獣医内科学 大動物編著者名 文英堂出版

つまり、産業動物(家畜)のことを「大動物」と言っています

産業動物ではない小動物とは対照的で使いやすく、定着したのでしょう。

ケイちゃん
ケイちゃん

ひつじ・やぎって、「」どうぶつ?

うとう
うとう

めん羊・山羊は大型犬くらいの大きさか、それより少し大きいくらいかな。牛や馬と同じイメージで「大動物」と言うと少しだけ違和感はあるね(笑)

大きさで分けたというより、家畜とそうじゃないのを区別するのに便利な言葉なんじゃないかな。

3. 牛、馬、豚の臨床

大動物の臨床獣医といっても、勤務先や勤務地域によって、動物種に偏りは出てきます。乳牛の多い地域、肉牛の多い地域、養豚が盛んな地域、馬の名産地…。団体や企業に専属獣医として雇われた場合はそこの家畜のみを診ることになりますし、個人で開業するとその地域のあらゆる家畜農家から診療依頼されることもあります。

病気の種類はたくさんあって、分厚い教科書1冊分は書けませんが、現場で多い病気の例や、仕事の例を挙げてみます。

3-1. 牛の臨床

・難産の介助
・子牛の下痢、肺炎

乳牛
・乳房炎
蹄病ていびょう
・起立不能
・繁殖障害
・消化器の病気

肉牛
・繁殖障害
・消化器の病気

牛の種類によらず、子牛の病気としては下痢と肺炎が多いです。死亡する危険もありますし、生き延びて成長しても家畜として経済的価値の低い牛、生産性の低い牛になる原因になります。それらの治療のほか、病気にかかる前に予防するために、飼い主が衛生面や環境面に気を付けるように指導したり、病気予防のワクチンを打つということもします。

乳牛は、牛乳を本来必要な量以上に生産させるために改良されてきたので、一頭から生産される牛乳が多い牛で1日100リットルを超えるものもいます。子牛10頭分ぐらいになります。そのため、牛乳に持っていかれるカルシウムなどの栄養バランスが崩れやすかったり、乳房への負担が大きく、起立不能や乳房関係の病気が多くなります。また、体重500㎏もある体を支えている蹄も、栄養面と、飼われている施設の床が硬いなどの環境面とで影響を受け、病気になります。

乳牛は子どもを産まないと牛乳を出せませんし(これを知らない方がいてびっくりします)、肉牛はお肉として売る牛を産まないといけません。つまりどちらも繁殖に関わる治療があります。卵巣機能や妊娠検査、人工授精などの仕事もあります。

乳牛も肉牛も、第一胃で発酵することで草から栄養を作り出していますが、餌の種類・量によってバランスが崩れるとガスが異常発生したり、消化管がねじれたりしてしまいます。重症の場合、命にもかかわり、手術が必要になります。

3-2. 馬の臨床

・運動器のケガ
・消化管の病気

速く走ること、競走させることに特化し改良されてきた馬は、骨や筋肉などの運動器が発達していますが、運動する機会も多いので事故でケガをしやすいです。骨折して、治っても例えば競走馬の選手生命は終わるかもしれないし、立てなくなった場合は安楽死させなければならないです。

牛も馬も、おとなの体重は300-1000㎏にもなり(品種による)、脚無しでそれを支えることができません。横たわった状態では、内臓が圧迫され、消化管機能に異常をきたし、長く生きるのが難しいです。

また、馬は馬独特の構造をした消化管をもっていて、腹痛を起こしやすいです。

簡単に言うと、草から栄養を得るために盲腸で発酵をするのですが、盲腸の大きさと形がとてもねじれやすくなっているのです。単にねじれるのではなく、バルーンアートでひねった風船のように、消化管がそこで閉じてしまうのです。馬にとっては命に関わるので重大な病気です。

他にも消化管関係の病気はあり、歯のすり減り方が悪くて体調を崩すなど、もあります。

うとう
うとう

ちなみに。話が逸れますが、うさぎも盲腸発酵する動物です。うさぎの場合はその栄養たっぷりの消化管内容物を糞として一度外に出してから、食べることで栄養を吸収します。

は、盲腸の後ろにある発達した結腸で栄養を吸収できるので、うさぎのような「食糞」はしません。

3-3. 豚の臨床

豚の生産管理では、ケガや病気を治すというよりはそれらを予防することが重点に置かれています。獣医師は病気予防のワクチンや薬剤の注射、衛生管理、飼養管理、病気の検査に関わる仕事を中心にします(ちなみに鶏も、病気を予防すること、病気の検査が中心です)。

豚は一頭から多数の子どもを短期間で産むため、牛・馬に比べて生産サイクルが早いです。また、子どもの頃に病気にかかると死亡率が高かったり、市場価値の低い成豚になってしまいます。そのため、病気にかからせないで元気に成長させることがもっとも経済的なので、病気の予防に重点が置かれていて、衛生管理や飼養管理の技術も進み、より効率よくより衛生的にとシステム化が進んでいます。

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