搾乳って、どうやるの?

搾乳ってどうやるの? 乳牛
うとう
うとう

ブログ管理人です!大学生の頃は搾乳バイトをしていました。

搾乳さくにゅう」つまり「乳しぼり」をやったことはありますか?

お仕事で酪農をしている方を除けば、現代で乳しぼりをする機会といえば観光牧場の体験コーナーぐらいでしょうか。

じつは搾乳のやり方、といっても、文章の説明を読みこんでも上手くできるものではないです。実際に手で触ることで初めて感覚がわかりますし、繰り返していれば体が慣れてきます。逆に変な説明はいらないかも。

自転車に乗るにも、いくら文章や口で説明したところで、実際に乗ってみないと全然わかりませんよね。

ケイちゃん
ケイちゃん

そうはいっても、牛に触ったことすらないから、ちょっとでも知りたいんだけど…

そういう方もいますよね。今回は、

・実際にはやらないけど、何をしているのか知りたい
・牧場や授業でこれから体験するので予習をしたい
・搾乳のアルバイトを始めるので、一応流れを知っておきたい
・搾乳 ってとりあえず検索してみた

という方のために、簡単に解説してみますね。

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1. 搾乳って、人の手でやるの?

ケイちゃん
ケイちゃん

「搾乳」って言っても、今の時代ぜんぶ機械でやるんでしょ??

何リットルもの牛乳を搾りとるのはもちろん機械で行われますが、牛を移動させたり、搾乳装置を牛のおっぱいに取り付けるのは手作業です。(例外もあります)

「乳しぼり」というと、1974年に初放送されたアニメ「アルプスの少女ハイジ」で、山羊やぎの乳しぼりをしている場面を思い浮かべる人もいるかもしれません。

現代では、牛や山羊を搾乳する設備(パーラー)のある建物に連れていき、手作業で補助しつつ機械の力で搾ります。

うとう
うとう

例外として、パーラーではなく搾乳ロボットを使った場合は、ほぼ人の手を使わずに搾乳できます。

2. 搾乳に関する用語

2-1. パーラー

牛の搾乳をする設備を「ミルキングパーラー(milking parlor)」といいます。
ミルキング(milking)の意味は、搾乳。
パーラー(parlor)の意味は、客間やお店。

英語圏でparlorは少し古臭い言葉のようで、日常会話ではあまり使われなくなっているようです。現代でも使うのは milking parlor ぐらいかもしれません。日本では、乳製品や果物をつかったスイーツを食べる喫茶店を、ミルクパーラーやフルーツパーラーなどと呼ぶことがあり全国にまだ存在していますが、昭和の香りがします…個人的に語感は好きですが。

以下、このミルキングパーラーを「パーラー」と表記させていただきますね。パーラーの種類も色々あります。こちらを参考にして下さい。
ロータリーパーラー
パラレルパーラー
ヘリングボーンパーラー

オートタンデムパーラー

2-2. ミルキングシステムとミルカー

【ミルキングシステム】搾乳を自動でコントロールするコンピューター。搾乳量を検知して、牛の体に合わせて搾乳を停止させミルカーを外します。牛の首につけたタグで個体識別し、個体ごとに記録を蓄積することができます。手動の操作に切り替えたり、過去の記録の検索などもできます。

【ミルカー】牛の乳頭に装着し搾乳をする装置。乳頭につける部分をティートカップ(乳頭カップ)といいます。ミルキングシステムの搾乳スイッチを入れるとミルカー内が陰圧になり、その吸い込む力で生乳を搾り取るしくみになっています。

うとう
うとう

牛には4つの乳頭があるので、4つのティートカップが付いたミルカーを使います。ちなみに山羊は乳頭が2つなので、山羊用ミルカーはカップが2つなんですよ。

2-3. 牛の乳房

牛には4つの乳頭があり、乳房の中も4つの部屋に分かれています。たくさんの乳腺細胞からつくられた生乳が、乳房の下部に貯蔵されます。

2. 搾乳の流れ

牧場や考え方によって、前後する部分や違いもあります。また、パーラーも様々なタイプがありますがおおよその流れは同じです。

人が、牛をパーラーに入れる

人の手で、前しぼりをする

人の手で、乳首にプレディッピングをして清拭せいしきする

人の手で、乳首にミルカーを付ける

機械とコンピューター制御で、乳を搾りとる

機械とコンピューター制御で、自動的にミルカーが外れる

人の手で、ポストディッピングをして、牛をパーラーから出す

①人が、牛をパーラーに入れる

ミルキングパーラーに入った牛たち
ミルキングパーラーに入って搾乳されている牛たち。

下の図はパラレルパーラーの例です。

牛舎→待機場→パーラー
というように、牛を後ろから追うようにして牛を移動させます。

牧場内の全ての搾乳牛を待機場に一度移動させた後、ミルキングシステムの数だけ牛をパーラー入れます。図では省略していますが、牛の前のゲートが閉まっているため、搾乳が終わるまで牛は立ったままおとなしく待っています。

ちなみに…

搾乳の時間が近づくと自分で待機場に来て待っていて、パーラーにも進んで入っていく牛、人が後ろから押してもなかなか動かない牛など、牛の性格や飼い方によってパーラーに円滑に入るかどうかはかなり違いがあります。

ただ基本的には、ホルスタインは穏やかな性格でおっとりした動きをするので、声をかけてポンポンたたいてあげたり後ろから押してやると動いてくれます。抵抗する個体でも、走り回って逃げるようなことは少なく、ゆっくりと別方向へ逃げたり、じっと動かないでいたりと静かな抵抗の仕方をします(笑)。

②人の手で、前しぼりをする

前しぼりは、牛乳を搾る機械(ミルカー)を乳首に取り付ける前に10回程度行います。時間にしてほんの数十秒ですが、とても重要です。

・乳首を刺激する
・最初の数十ml分の牛乳を出して捨てる
・牛乳の色・質、異物が出ないか確認する

このような目的があります。

【乳頭を刺激する】と、それが牛の脳に伝わり、生乳の射出を促進するホルモン『オキシトシンが分泌されます。(参考:泌乳生理について

【最初の牛乳を捨てる】のは、乳頭にたまっている生乳には細菌が多いためです。この部分の生乳は捨てて、次に送られてくる生乳から搾ります。

【牛乳の色や異物が出ないか確認する】のは、乳房炎などの病気がないか確かめるためです。異常がある牛乳は、色が薄い、とろみがある、色がおかしい、ブツと呼ばれる固形状の異物が出てきたり乳頭が詰まったりする、などがあります。(乳房炎の場合、乳房や乳頭に熱感があったり、腫れていることもあります。乳房炎の初期段階では、見ための異常が分かりにくい場合もあります。)


前しぼりのやりかた

説明文の前にある写真では、親指と人差し指のみで搾ってますが、ちゃんと生乳が射出しています。基本を理解し、乳頭の根元を完全に閉じることができていれば、このようなこともできます。

逆に、きちんとやっているつもりでも生乳が射出しない時は、親指と人差し指で乳頭根元をしっかり閉じられておらず、乳房の方へ生乳が逆流していることになります。

③人の手で、乳首にプレディッピングをして清拭せいしきする

プレディッピングとは、搾乳前に乳頭に消毒液をひたすこと(ディップ)です。

ディッピングをして数十秒おいて乳頭を消毒した後、清潔で殺菌されたタオルで乳頭を拭きます(清拭)。乳頭ごとに清潔な面を使い、牛ごとに新しいタオルを使います。使用後のタオルは洗濯・殺菌します。乳房炎などの病気を防ぐためです。

人の手で、乳首にミルカーを付ける

これは特に、実際にやって慣れるしかありません。

・空気を入れないこと
・乳頭が折れた状態で装着しないこと
・乳頭に触れる部分にさわらないこと

これを意識してやりましょう。どれも、乳房炎などの病気を防ぐために重要なことです。

空気を入れると、すでに装着されているティートカップ内で生乳の逆流が起こったりします。また、乳頭が折れていると、生乳が出ないだけでなく乳頭へ強力な陰圧がかかってしまいます。乳頭や乳頭口に大きなダメージとなります。

実物を触ってみないとわからないと思いますが、参考までにミルカーの扱い方を載せておきます。

引用元:全国乳質改善協会(編)(1992)図解乳質改善シリーズ4 乳房炎の防除で乳質アップ!!

機械とコンピューター制御で、自動的にミルカーが外れる

牛の体や乳房・乳頭に負担がないようなタイミングで、自動的にミルカーが外れます。

生乳を出すのを促進するホルモン「オキシトシン」の分泌から時間が経ち過ぎていると、牛の体から生乳を射出する勢いがなくなります。それでも搾乳を続けると、「過搾乳」という状態となり、過剰に乳頭に陰圧がかかるためダメージとなります。まだ生乳が出るからといって搾乳を長く続けると、乳房炎などの病気の原因となるため注意します。

ミルキングシステムの不良で、ミルカーが外れるのが早すぎて乳房に生乳がパンパンに残っている場合などは別なので、機械の不具合にも気を付けます。

ミルカーを外すことは人力でやる必要はありませんが、外れた後はできるだけ早急にポストディッピングをして消毒をすることが重要なので、意外と気が抜けません

人の手で、ポストディッピングをして、牛をパーラーから出す

ミルカーが外れたら、すぐにポストディッピングで消毒をします。搾乳で負担がかかった後の乳頭は細菌感染などをしやすいため、できるだけ早い方がいいのです。

またできれば、プレディッピングとポストディッピングで、消毒容器(ディッパー)を分けるのが望ましいです。

図はパラレルパーラーの例です。ポストディッピングまで終わったら牛の前にあるゲートを開けて、牛舎や放牧場へ牛を帰します。パーラーのタイプによって、一斉にゲートを開けるものとバラバラのものとがあります。

ここでも、みずからスタスタ帰っていく牛もいれば、後ろから促してやらないと動かない牛もいて個性が感じられます(笑)

うとう
うとう

搾乳の流れを文章に書くと多く感じるかもしれませんが、実際にやって慣れるとあまり考えずにできるようになります。

ケイちゃん
ケイちゃん

なんか色々気を付けることがあるみたいだけど…とりあえず、乳頭を大事に清潔に乳房炎には気を付けて?という感じかなあ?

うとう
うとう

あとは、たくさんの牛や機械に触るかもしれないので、ケガをしないように気を付けてくださいね!

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