「動物のお医者さん」だけじゃない!獣医師の仕事って?

獣医の様々な仕事 獣医

このページでは、獣医師免許が必要な仕事にどんなものがあるのかを解説します!

獣医になりたい人だけでなく、理系のお仕事の選択肢として、「動物のお医者さん」を目指していない人にも参考になれば幸いです。

うとう
うとう

ブログ管理人の うとう です!

みなさんは「獣医」と聞くと何を思い浮かべますか??

犬・猫などの病気やケガを治す人
牛などの家畜に注射を打つ人
動物園の動物の健康管理をする人…

ケイちゃん
ケイちゃん

ヒトを治すのがお医者さん、どうぶつを治すのが獣医さん、でしょ?

うとう
うとう

いわゆる「動物のお医者さん」だね。多くの人が最初にこれを思い浮かべるんじゃないかな。

ヒトの治療をするのがお医者さんで、ヒト以外の動物を治療するのが、獣医さん。これももちろん、獣医の姿として間違いではありません。

ですが…

獣医のお仕事って、「動物を治す」だけではないんですよ!むしろ、これは獣医がやっている仕事のほんの一部。

これ以外に、獣医が必要な仕事は世の中にたくさんあって、私たちの生活にこっそり関わっているものも多いんです。

このページでは、よく知られたものからあまり知られていないものまで、獣医師免許が必要な仕事にどんなものがあるのか、いくつか紹介していきますね。

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1. 診療をする仕事

診療しんりょう」とは患者を診察しんさつ治療ちりょうすることです。
実際に診察をする仕事の分野を「臨床りんしょう」と呼びます。臨床とは「病床へのぞむ(病人のそばに面する)」という意味です。

うとう
うとう

この、診療をする獣医師が「動物のお医者さん」にあたりますね。

1-1. 小動物の診療

子猫を見つめる人

犬・猫に代表される、愛玩あいがん動物(ペット)伴侶はんりょ動物(コンパニオンアニマル)にあたる動物たちを治療する仕事です。

愛玩動物とは、人が可愛がったり姿や声を楽しんだりする目的で飼う動物という意味ですが、現代では一緒に暮らすことで、人と動物とが互いに精神的な支えになっている面もあります。そのように家族の1人、社会の一員として位置づけられるようになっているという意味で、伴侶動物という言い方があります。

そのため、獣医学・獣医療が発達するにつれて人間と同じような治療を求め、治療費を惜しまない飼い主も増えています。

人も人以外の動物も、脊椎動物(哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類)に共通した体の仕組みを持っているので、動物病院の設備には人間の病院とほぼ同じような物が使われています。その上で、それぞれの動物種ごとの違いを考慮して治療をします。

獣医師免許を持ってさえいれば、法律上は人以外の動物の治療をできますが、ある特定の分野を極める獣医もいて、専門化進んでいます。たとえば、内科専門、眼科専門といった分野で特化した人もいれば、鳥類専門、爬虫類専門などのように動物種で特化した人もいます。

ひとことに小動物診療というだけでも、↓のようにあらゆる動物が人に飼われていますから、仕事も多種多様です。

哺乳類(犬、猫、ウサギ類、ネズミ類など)
鳥類(オウム科、インコ科、ブンチョウ、猛禽類など)
爬虫類(カメ類、ヘビ類、トカゲ類など)
両生類(カエル類、サンショウウオ類、イモリ類など)
魚類…

「小動物の診療」勤務先の例

・個人での開業
 診療施設(動物病院)の個人事業主
 ペットショップ等からの委託業務

・診療施設(動物病院)の会社員
・ペットショップ、ペット関連会社の会社員

1-2. 産業動物の診療

産業動物とは経済動物ともいわれ、人の経済的目的のために飼われる動物のことです。その動物そのものや生産物・労働力が、人の生活に必要だったり役に立つため昔から飼われてきました。家畜家禽かきんともいいます。
(「禽」は鳥を意味する言葉で、たとえば家禽はにわとりなど、猛禽はたか・ふくろう等をいいます。)

産業動物はおもに牛、馬、豚、山羊やぎ綿羊めんよう(羊)、鶏、アヒルなどで、「牧場で飼われている動物」を想像するとわかりやすいと思います。

それらのうち家畜は、小動物と対照的に大動物と言われることもあります。

ざっくりいうと「牛・馬はケガや病気の治療「豚・鶏は病気の予防と衛生管理が仕事の中心になる傾向があります。

牛・馬は妊娠期間が牛約280日、馬約330日と長く、1回の分娩で1産(まれに2頭)と産子数が少なく、さらに成長、つまり経済的価値が付くまで時間がかかるため、1頭1頭の価値が高いです。

うとう
うとう

病気やケガの治療にお金をかけてでも1頭1頭を成長させたり生きてもらう方が経済的でなんです。

(それでも、病気になる前に予防できた方がさらに経済的なので、牛馬の診療も予防を中心に変わっていってるとは思います。)

は妊娠期間が約115日、1回の分娩で約10頭(品種により7-20頭)産み、成長も早いです。は1回に1個の卵を産み、21日で孵化します。それを毎日産むことが可能です(ヒナが孵る有精卵にするには交尾させなければいけませんが)。1頭・1羽ごとの価値は低くなりますが短い期間でたくさん増やせます

また、むれ/ぐん単位、豚舎とんしゃ鶏舎けいしゃ)単位という多頭をひとまとめで管理する考え方や技術が発達し、統一されたシステム化が進んでいるのも牛・馬と異なります。生産サイクルが早く、効率化の技術が進んでおり、基本的には病気やケガにかからないように予防するということに重点が置かれていて、治療よりも予防接種・飼育衛生管理・消毒・感染症や寄生虫にかかっていないかの検査が主になっています。

うとう
うとう

病気の治療で1頭1頭にお金をかけるより、群全体で病気になる前に予防することや、淘汰して別なことにお金をかける方が、経済的なんですね。

綿羊・山羊の妊娠期間は約150日、1回の分娩で1-2頭(まれに3頭)産みます。これだけでなく、日本国内での需要や体の大きさが小さく生産物が少ないこともあり、牛・馬よりも1頭1頭の価値は低くなります。

現在の日本では、産業動物としての飼育頭数は比較的少なく、また群れで飼われていても豚・鶏ほど飼育方法がシステム化されていません。

うとう
うとう

病気の治療よりも淘汰して別なことにお金をかける方が経済的ではあるが、飼育者によって治療と淘汰どちらを選ぶかまちまちです。

「産業動物の診療」勤務先の例

・個人での開業
 診療施設(産業動物の病院)の個人事業主
 各種産業動物関係の施設・企業からの委託業務

・診療施設(産業動物の病院)の会社員
・牧場や家畜飼育施設の会社員
・農業協同組合(JA)
・農業共済組合(NOSAI)
・日本中央競馬会(JRA)、その他競馬関係団体

※「動物病院を開業」といっても産業動物の場合は、実際に病院の建物をつくり患者に来てもらうというよりは、患者のいる牧場などへ往診をするのがほとんどでしょう。

1-3. 動物園動物の診療

動物園・水族館ではケガや病気をした動物(様々な種類の脊椎動物)の診療はもちろんのこと、日常の飼育管理健康管理や検査も行います。また、死んでしまった動物を解剖し、病気を調べたり、貴重な研究資料や展示資料として保存や処理をする作業もあります。

獣医業務を専門にやる場合と、飼育員と同じように日々の飼育業務を同時にこなす場合とがあります。 絶滅危惧種など希少な動物種の繁殖に関わることもあります。

「動物園・水族館の診療」勤務先の例

動物園や水族館といっても、運営している場所や団体が様々なので、獣医の立場も様々です。

・公立の動物園や野生生物保護施設
 各市町村が運営の場合、公務員
 各市町村が業務委託している場合、委託先企業の会社員

・民間企業の動物園や野生生物保護施設の会社員

・公益法人、一般財団法人、一般社団法人、NPO法人など
(例:「公益財団法人 東京動物園協会」上野動物園多摩動物公園井の頭自然文化園葛西臨海水族館を運営している)
(例:「一般財団法人 沖縄美ら海財団」沖縄美ら海水族館を運営している)

・環境省など国立の野生生物保護施設

1-4. 野生動物の診療

野生動物の診療は、交通事故でケガをした野生動物の救護として行うことが多いです。治療の後、野生へ返すまでに一定期間の保護やリハビリが必要だったり、野生へ返せない場合に保護飼育し続けなければならないことがあります。

野生生物保護施設でそういった仕事をする場合以外にも、小動物や産業動物の診療をしている獣医師が、持ち込まれた野生動物の診療をやる場合もあります。専門施設での仕事でなければ治療費を払う人がいないので、ボランティアとしてやるか募金など援助が必要になります。

「野生動物の診療」勤務先の例

・環境省など国立の野生生物保護施設
・公益法人、一般財団法人、一般社団法人、NPO法人など
・民間企業の野生生物保護施設の会社員
・動物病院の個人事業主(委託、ボランティアなど)

※ 動物園・水族館が単独で、あるいは野生生物保護施設や大学と協力し、救護・保護飼育・研究活動などをしている場合もあります。その場合、動物園・水族館の獣医が野生生物の診療をすることがあります。

2. 公衆衛生の現場仕事

うとう
うとう

さて、ここから先はあまり知られていないお仕事ではないでしょうか。もちろん獣医師が必要な重要なお仕事です。

感染症を防ぎ、動物の健康と食品の安全を守るために、動物用医薬品の研究・開発に携わっている獣医師もいます。

2-1. 農林水産・畜産業の公衆衛生

国内での、あるいは国外からの家畜伝染病を予防したり、伝染病の拡散を最小限にとどめる仕事があります。

家畜に重大な伝染病が発生すると家畜を処分しなければならず、食品流通や日本経済に大きな影響があります。また、人獣共通感染症が流行した場合には、食品流通や経済だけでなく人々の健康にまで影響が及びます。

それらを、家畜の生産(農場)・食肉や農畜産物の加工・家畜や農畜産物の流通といった現場で予防業務を行う施設にも獣医師が必要です。

じっさいに家畜伝染病や人獣共通感染症が発生した時に、拡散をとどめるために消毒作業や家畜処分の作業をすることも重要です。

しかし、それらを発生させないために常日頃から、予防策を考え実施したり、家畜や農畜産物に対する一定基準の検査をして病気の早期発見に努めたり、家畜や農畜産物を国内外で移動・輸出入するときにも検査を行っています。

「農林水産・畜産業の公衆衛生」勤務先の例

公務員
家畜保健衛生所(家畜防疫員)
保健所食品衛生監視員
・食肉衛生検査所、食肉センター、と畜場(と畜検査・食肉検査員)
検疫所(家畜防疫官)

・そのほか農林水産省の職員
・そのほか独立行政法人の職員

ケイちゃん
ケイちゃん

検査のために動物から採血、お肉にするために とさつ したり検査。それ以外は、直接動物に触らないお仕事だね。

2-2. 食品・獣医療の公衆衛生

食中毒の検査
食中毒を起こした原因や経路を調査し、被害の拡大防止と再発防止などの措置をします。

愛玩動物・伴侶動物、獣医療の衛生
動物愛護法などの法令に基づいて、動物愛護の考え方や適正な動物の飼育方法を一般家庭や学校その他施設へ指導したり、ペットショップなどの動物取扱業者の監査指導、動物の保護・管理などを行います。また、狂犬病予防の指導や人獣共通感染症の調査・予防業務などもあります。

医薬品の検査
人間用・動物用医薬品の有効性・安全性を確認するために審査および検査をします。

食品衛生監視員
農林水産物・畜産物の衛生とも重なる部分もありますが、飲食店等の営業許可・飲食店に対する監視と指導・食品の検査・食品に関する苦情や相談への対応などの仕事があり、これらの業務に関わることもあります。

「食品・獣医療の衛生」勤務先の例

保健所(狂犬病予防員、動物愛護監視員、環境衛生監視員、医療監視員、薬事監視員、食品衛生監視員
・医薬品検査所
・動物衛生研究所

・そのほか農林水産省の職員
・そのほか独立行政法人の職員

家畜の病気から、人の食品となるまで様々な機関が関わっています。
(参考リンク)日本における家畜防疫体制

日本における家畜防疫体制
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1212/spe1_04.html より引用

3. 研究者

研究といっても、上に挙げてきた「臨床」「公衆衛生」のなかの各分野のどれでも、研究者がいて、研究を専門に仕事をしている人がいます。馬の骨折の研究、犬猫の心臓の研究、感染症の研究、動物から人へどのように病気がうつるかの研究…

また獣医学の各分野 内科学、外科学、繁殖学、感染症学、寄生虫学、公衆衛生学、病理学、生理学、薬理学、解剖学、分子生物学、生化学、毒性学、…etc、農学、畜産学、動物学、医学、バイオテクノロジーといった獣医学にかぎらない分野でも研究に携わり、「獣医療」「人の医療」などへ多岐にわたって貢献している人もいます。

人の生活に欠かせないものとしてわかりやすい例では人や動物の医薬品の開発、臓器移植などのバイオメディカルワクチンの開発化粧品の開発などがあります

また、現代は地球上の人々やあらゆる動物・食品がすごい速さで海を渡って交流しているため、それだけ、さまざまな感染症がすぐに拡大したり新たに発見される危険性があります。そのため人獣共通感染症新興感染症・再興感染症(エボラ出血熱、高病原性鳥インフルエンザ、などなど)、原虫や寄生虫の研究も盛んです。

さらに必ず必要になってくるのが、実験動物です。薬の安全性の確認にも、食品の安全性の確認にも、バイオテクノロジーの開発にもかかせませんが、それらを安定的に生産・管理している機関や企業があり、その飼育管理や研究にも獣医師が必要になります。

「研究者」勤務先の例

・大学教員(獣医学系・獣医学系以外)
・大学研究員(獣医学系・獣医学系以外)
・各種研究施設の研究員
・各種企業の研究職の会社員

うとう
うとう

同じ大学に、もともとワクチン開発がしたくて獣医学科に進学し、見事にワクチン研究職のある企業へ就職した人もいました。

野生動物の個体数管理鳥インフルエンザなどの野生動物からの感染症の研究のために、大学院へ進学したり研究施設の研究員になっている人もいました。

4. 教育

大学の教員として仕事をしている場合、研究室での研究業務と同時に学生への教育・指導業務もあります。また、大学、専門学校その他の教育機関、研究機関での非常勤職員、臨時教員、委託業務という形で教育・指導を行う人もいます。

獣医学の各専門分野を教えることもあれば、獣医学以外の、たとえば農林水産系や医療系、生命科学系などの授業をする場合もあります。

「研究者」勤務先の例

・大学や専門学校の教員(獣医学系・獣医学系以外)
・大学や専門学校の研究員、教師(獣医学系・獣医学系以外)
・非常勤職員、臨時教員、業務委託など

5. その他

今まで上に書いた獣医師の仕事の能力を、青年海外協力隊などの海外技術協力という形で発揮することもできます。獣医師としての人材育成をするだけでなく、獣医師が農林水産業・畜産業・動物愛護・衛生・医療・環境保全といった分野の指導をすることもあります。

日本の獣医師免許を持っていることでできる職業は多岐にわたるため、このページにはすべてを書ききれないです。

日本の法律で定められていて獣医師のみができる仕事以外にも、獣医師できる仕事があります。

獣医師「も」できる業務というと、たとえば「医師、歯科医師、薬剤師又は獣医師」の医療系免許いずれかが必要だけどどれか一つの免許があればよい業務や、「獣医学、畜産学、水産学又は農学の課程を修めて卒業した者」のように農林水産系の知識が求められる業務などがあります。

また、免許は必須ではない仕事でも、職種によっては獣医師免許があることで他との差別化ができ、業務内容の充実や就職において「特殊能力」「特技」として生かせる場面もあるでしょう。

ケイちゃん
ケイちゃん

獣医さんといっても、ほんとーーに色々あるんだねぇ。知らなかった!

うとう
うとう

動物の病気」だけではなく、動物・食品・感染症・衛生・医薬品・医療などさまざまな分野で獣医師も必要って伝わったかな。法律で獣医師を置かなければいけないと決められていることも多いんだ。

ケイちゃん
ケイちゃん

「獣医」っていう言葉が「けものの医者」ってことだから、この字を見たら動物のお医者さんていう印象しかないのもしょうがない気がするよ~。

うとう
うとう

たしかにそれもあると思う。

英語で獣医師は“veterinarian”(省略してvet)という固有名詞があてられているよ。獣医学は”veterinary medicine”という。

けものの医者(動物のお医者さん)」ももちろん重要なお仕事だけど、「獣医師のほんの一部分」だよって知ってもらいたいなぁ。

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